心理カウンセリングへのアクセス [誰に編] 2

前回まで

 前回の記事ではカウンセラーの資格のうち臨床心理士と公認心理師についてかんたんに紹介しました。いわゆる「こころの困りごと」について心理士に相談してみようと思ったとき、学校に通っている場合にはスクールカウンセラー、心療内科や精神科に通院している場合には病院勤務の心理士に相談する機会があるかもしれません。これらの場合は相談相手は資格保有者になることがほとんどでしょう。

 それ以外の方や通院中の心療内科・精神科に心理士が所属していない場合には外部のカウンセリングルームで相談する方法があります。資格を持つ人に相談してみようと考えたとき、むずかしいのがこのケース……というところまで述べたのでした。

開業心理士と資格

 学校や病院では求人の条件に資格要件が定められていることが多い(公立学校のスクールカウンセラーは毎年証明書のコピーを求められます)だけで、カウンセリング業務を行うのに特定の資格は必須ではありません。カウンセリングルームを開いている人のなかには臨床心理士・公認心理師の資格を持っている人もいればそうではない人もいます。資格を持っていればそれで良いというものではありませんが、ある程度の知識を備えていることの目安としては考えても良いでしょう。また、資格を持って働くということは倫理規定のもとで業務を行うことでもあり、不適切な行いには罰則が定められています。

 一方、上記の資格を取得するルート以外で学んできたカウンセラーや個人の経験をもとに開業されている人もいます。こちらについて私は詳しくないため、多くを語ることはできません。相談相手に何を求めるかは人によって異なります。それが資格や実績である場合もあれば、同じ病気の経験である場合もあるはずです。相談先を探すのとあわせて、自分がカウンセリングに何を求めていて、どのような人に相談してみたいと思うのかを考えてみるのも良いでしょう。

 あくまで私見と前置きした上で述べるならば、かりに私自身が知り合いにカウンセリングを勧める場面があったとすると、臨床心理士や公認心理師に限らず倫理規定が定められた資格の保有者のなかから探すように勧めると想像します。技術の問題以前でのトラブル(ハラスメントや悪徳商法)の可能性を低くすることができると考えるからです。規定がすべてのトラブルを防げるわけではありませんが、違反によって失うことがそれなりの痛手となる資格であれば、一応の抑止力にはなりえるでしょう。

臨床心理士・公認心理師を探してみる

 さて、これを読んでいる方が自身やご家族、友人のためにとりあえず生活圏内で臨床心理士や公認心理師のカウンセリングルームを探してみようと思ったとします。愛知県在住であれば、なにげなくインターネットの地図上で「カウンセリング」と検索するだけでかなりの数のカウンセリングる施設が表示されるのではないでしょうか。あとはこのなかから自宅や職場に近いところを探せば……しかし、地図上だけは資格の有無の判別がむずかしい事情があります。

 実はグーグルマップ上では資格があろうがなかろうが業種が「臨床心理士・カウンセリング」となっているケースが多くあります。今年の夏頃、ふいに気になってグーグルマップ上で県内のカウンセリングルームの数を数えてみました。そのとき見つかったのが51施設でした。こんなにたくさんあるのか!と驚いたものですが、確認してみると15施設が臨床心理士または公認心理師の資格保有者、36施設が非資格保有者によるカウンセリングルームで、後者のうち32施設は業種を「臨床心理士・カウンセリング」としていました。このような事情もあるため、サイト上のプロフィールから経験や資格(とその詳細)を確認してみないと実際はわかりません。

 カウンセリングも医療機関探しと同様、今のところは利用者自身での自衛的な選択が必要とされる状態で、なかなかもどかしいところです。

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<資料>
・一般財団法人心理研修センター,http://shinri-kenshu.jp/
・公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会,http://fjcbcp.or.jp/
・公認心理師,厚生労働省,https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116049.html
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