心理カウンセリングへのアクセス [どのように編]

何かしらの困りごとを持った人がその改善を目的に心理カウンセリングを検討する経緯として、
(1) 本人が希望して
(2) 周囲の人の勧めで
(3) 主治医の勧めで
などが考えられます。

その際に生じえる疑問を適当に5W1Hに当てはめるだけでも、いくらかのわかりにくさを少しクリアにできるかもしれません。

(3)は専門家の勧めですので、「どのように」アクセスするかわかりにくいことがあるとすれば、(1)と(2)の場合が多いでしょう。

ここでは心理カウンセリングにどのようにアクセスするか、医療機関との関係から3つのパターンを紹介します。

なお、臨床心理士および公認心理師をまとめて「心理士」と記載し、「心理カウンセリング」はこの両者が行う心理学に基づいた個人カウンセリングを意味するものとして話を進めます。「カウンセリング」という言葉自体や、心理士ごとの違い、カウンセリングと資格の話についてはまた別の機会に紹介したいと思います。

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私たちが医療機関を受診するとき、保険証を提示することで、支払いの自己負担額が3割(自立支援制度を利用した場合は1割)で済むようになっています。金銭的な負担が軽減されて、安心して治療に取り組みやすくなります。

以下の3パターンに共通する前提として、心理カウンセリングには公的医療保険は適用されません。

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A.
医療機関(※1)の中で心理カウンセリングが実施されているケースです。

心理カウンセリングは医師の診療の補助として行われます。あくまで補助という形をとりますから、医師の診療は必須です。

公的医療保険が適用される診療と一緒に実施してしまうと混合診療と見なされるため、カウンセリング自体は無料で提供されます(ただし、「予約料」などの名目で実質的に料金が発生することもあるようです)。

利用者側から見てのメリットは、(診療代を考慮しても)出費が少なくて済むことです。

デメリットとしては心理カウンセリングが実施されるか否か、いつまで継続するのかは医師の判断で、必ずしも希望が通るとは限らないことがあげられます。初診前に可否を問い合わせても「医師が判断します」以外の回答を得ることは難しいでしょう。また、負担が軽いことでハードルが下がり、医療機関によっては予約をとるための待ちの期間が長くなりやすいかもしれません。

1枠の時間は医療機関によって異なります。仮に1枠20分と定められていれば、50分や60分枠の心理カウンセリングは受けられません。

通院先の医療機関でこの形の心理カウンセリングが実施されている場合、診療の際に相談しましょう。医師が「今はカウンセリングは勧めない」と言う場合には、その理由も併せてきちんと説明してもらえると思います。

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B.
医療機関にカウンセリングルームが併設されているケースです。同じ敷地内の別棟であったり、別フロアであったりすることが多いです。

心理カウンセリングも事業の一部となりますので有料です。診療と心理カウンセリングをそれぞれ別の機関が実施している、ということで前述の混合診療の問題を回避しています。医療機関のウェブサイトやパンフレット、院内掲示物に「カウンセリングは有料です」と記載されている場合にはこのケースだと考えてよいでしょう。

利用者側から見てのメリットとデメリットはAをひっくり返したような形です。金銭的負担が生じる分、予約はとりやすくなり、フォローアップの期間を長くとることも可能でしょう。また、担当の心理士の得意な技法についても「芸術療法を受けてみたい」「認知行動療法を試してみたい」など、担当できる心理士がいれば希望は通りやすくなると思います。

1枠の時間は50分、60分が多いです。フォローアップ用や利用者の都合に合わせてその半分の時間の枠が設けられている場合もあります。

Aと同様に、診療の際に希望を伝えることで案内してもらえるはずです。キャンセル料などの決まりについて、予約をとる際に十分確認しておきましょう。

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C.
医療機関とカウンセリングルームが独立した関係にあるケースです。いわゆる開業のカウンセリングルームがこれにあたります。

通院先、通院予定先の医療機関に心理士が在籍していなくても心理カウンセリングを受けられる、特定の専門的な心理カウンセリングを通院先の医療機関を問わず選択できるというメリットがありますが、通い先が分かれることで時間的な負担が増える側面もあります(※2)。金銭面や予約についてのメリット/デメリットはBと似ています。

多くのカウンセリングルームがウェブサイトを開設していますので、地域+特定のワード(例えば「名古屋 精神分析的心理療法」)で探すこともできます(※3)が、通院中であれば「自分にはどのような心理カウンセリングが有効そうか」を含めて、主治医からも情報を得るのが良いかと思います。

予約の申し込み、問い合わせは相談機関宛てに行います。通院中の方は医師に紹介状を依頼することでその後の連携がよりスムースになります。

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以上のとおり、Aは金銭的負担が軽めで、BとCは選択の幅が広い傾向にあります。相談先を選択する際の参考となれば幸いです。

ご意見、ご感想、疑問、事実誤認の指摘などはお問い合わせフォームからお送りください。

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※1 アイコンは男性医師と女性看護師になっていますが、医療機関では女性医師、男性看護師、他にも多くの職種が協働しています。

※2 最近ではSkypeやZoomを利用した遠隔カウンセリングを実施しているカウンセリングルームもあります。

※3 検索ワードでヒットする=実際に専門としている、とは限りません。資格や所属学会を確認しましょう。